アメリカの現地校に子どもを通わせてみて、日本の教育との違いに驚かされることがたくさんありました。教科の構成や授業の進め方、評価方法にいたるまで、文化の違いが反映された“学びのスタイル”が存在します。
この記事では、我が家の小学生と中学生の子どもたちの現地校での実体験をもとに、アメリカと日本の教科・授業内容の違いを、親目線で具体的に紹介していきます。
教科構成は“科目横断型”が基本
日本の学校では「国語」「算数(数学)」「理科」「社会」といった教科ごとに分かれて授業が行われるのが一般的ですが、アメリカではより科目横断的なプロジェクトベース学習が取り入れられています。
たとえば:
- 社会科の授業で、黒人歴史月間にあわせて歴史・英語・アートが一体化したプロジェクトが行われた
- 植物の観察では、理科だけでなく英語(記録や説明文作成)・算数(グラフ化)も使う
教科の“境目”が日本ほど明確でないことが特徴的で、「この授業は何の科目?」と子どもが聞いてくることもよくありました。
英語の授業:読み書きだけでなく“表現力”重視
「英語(English)」は、日本の「国語」に近い教科ですが、学習内容はかなり異なります。
特徴的な点:
- フィクションやノンフィクションを使った読解中心
- 自分の意見を文章で書く“エッセイ”や“オピニオンピース”が頻繁に出る
- 読書後にブックレポートではなく「どう思ったか」を発表する機会が多い
我が子は最初、「正解がないから難しい」と戸惑っていましたが、次第に**“自分の考えを言葉にする力”がついてきた**のを感じます。
算数・数学:理解を“可視化”する文化

アメリカの算数・数学教育は、“どうしてそうなるのか”を重視します。暗記よりも**「説明できること」が重視される**のが特徴です。
実際の例:
- 答えだけでなく「その考え方を図で示す」ことを求められる
- 答えが合っていても、説明が不十分だと減点されることも
- 数直線や積み木、図形ブロックを使った“操作的な学び”が多い
最初は「これ、日本でやったことないよ…」と困惑していた子どもも、徐々に「考え方を見せる」スタイルに慣れてきました。
理科・社会:実体験を重視する“探究型”

理科と社会は、日本のような教科書ベースというよりも、“手を動かして学ぶ”探究型授業が主流です。
小学校では:
- 磁石の性質を学ぶために実際にマグネットを使って探す実験
- 地図を使った“自分の通学路”マッピング作業
中学校では:
- チームで「持続可能なエネルギー」について調べ、スライドで発表
- 実際にフィールドトリップ(郊外学習)に行くことも
机上だけでなく、“自分の目と手で確かめる”ことを非常に重視しているのが印象的でした。
アート・音楽・体育の時間の存在感が大きい

日本では副教科として位置づけられがちなアートや音楽も、アメリカでは週に複数回の時間が確保され、カリキュラムも充実しています。
実際に経験したこと:
- 音楽では1人ずつのレコーダー演奏テストがあった
- アートは専用の教室でアクリル絵の具や版画など本格的な道具を使用
- 体育はチームワーク重視で、運動能力での評価よりも参加姿勢が評価対象
特にアートは、展示会や学年展で保護者も参加でき、“作品づくりの過程”を大切にする文化が強いと感じました。
成績評価の考え方の違い

アメリカでは、点数よりも過程や姿勢が重視される傾向にあります。
例:
- プロジェクト課題は完成度より“アイデアと工夫”で評価される
- 定期テストは少なく、毎日の課題提出や小テスト、参加態度などが成績に反映される
- 通知表には「努力している」「主体的に取り組んでいる」といった観点が盛り込まれる
日本のように「テストで点を取ればOK」という感覚とは異なり、「どれだけ積極的に関わったか」「協働できたか」などが大切にされていると感じました。
保護者として驚いたこと・工夫したこと

驚いたこと:
- 教科書がない or デジタル教材中心で“紙の教科書”を持ち帰らない
- 教師によって教え方がかなり異なる(担任の裁量が大きい)
- 授業参観の代わりに“成果発表会”が頻繁にある
我が家の工夫:
- 子どもが戸惑った内容は、日本の教科書で補足して理解させた
- 家庭でも“意見を聞く”習慣をつけた(読書感想や日常の出来事など)
- アートやプレゼン準備は親子で一緒に練習した
異文化に飛び込む子どもをサポートするには、「比較して否定する」のではなく、「違いを面白がる姿勢」が大切だと感じました。
まとめ:教科の違いは“文化の違い”そのもの
教科や授業内容の違いを知ることは、単なる教育制度の比較ではなく、その国が子どもにどんな力を育てたいかという“価値観”を知ることでもあります。
日本の教育が丁寧さや基礎力を重視する一方、アメリカの教育は“個の表現”や“協働による学び”を重視するスタイルです。
親も子も戸惑いながらも、一歩ずつなじんでいく中で、「こういう学びもアリだな」と感じるようになりました。
海外での学校生活を通じて、親としても“学びの多様性”に目を開かされた気がします。これから現地校に通うご家庭の参考になれば幸いです。
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