
執筆者:ニーチェ(当ブログ運営者)
中学生の時に父の海外赴任でアメリカ・カリフォルニア州へ渡航。英語がほとんど話せない状態から現地校に通った経験を持つ。現在は帰国し、社会人として自身の体験を発信中。
突然の海外赴任辞令。喜びと同時に、不安や戸惑いが押し寄せるのは、あなただけではありません。特に家族がいる場合、影響は自分だけでなく、パートナーや子どもたちにも及びます。そのため、まずやるべきことは「家族会議」です。
本記事では、実際に海外赴任を経験した複数のご家庭の体験談を交えながら、「どのような家族会議を開くべきか」「どんな話し合いをすればよいか」を具体的に紹介します。

突然の海外への辞令。驚きと共に、「生活はどうなるんだろう?」「子どもの学校は?」「食事になれるだろうか・・」等不安がありますよね。そんな時、この記事がお力になれればと思います。
なぜ家族会議が必要なのか?

不安や疑問を解消する場になる
家族会議の最大の目的は、「不安を共有し、方向性を一致させること」です。特に子どもにとっては、環境の激変に対して心の準備をする必要があります。話し合いの場があるだけで、子どもの不安は驚くほど和らぎます。
7歳と10歳の子どもを持つAさん一家の場合
「7歳の娘は『○○ちゃんと遊べなくなるの?』と泣いてしまい、10歳の息子は『英語が話せないから無理だよ』と怒って部屋にこもってしまいました。そこで、夫婦で話し合って、夜の時間を“未来トーク”の時間に決めました。YouTubeで現地の学校ツアー動画を見たり、近所のプレイグラウンドの様子を見せたり。
動画は『現地の日本人家族のVlog』や『インターナショナルスクール紹介』といったジャンルを検索し、チャンネル登録者数が多く、投稿が直近1〜2年以内のものを優先的に選びました。
1週間ほど経った頃、娘が『ここの公園、すべり台大きくていいね』とポツリとつぶやいたんです。」
パートナーのキャリアや生活に直結する
帯同するパートナーのキャリアと生活設計を最初から一緒に考えることが、赴任後の家族の安定につながります。
赴任者本人は会社のサポートが受けられる一方、帯同するパートナーは仕事を辞めざるを得ないケースも。 ここをないがしろにすると、後々トラブルの火種になります。 会議の中で「パートナーの未来」にもしっかり時間を割きましょう。
共働きだったBさん夫婦
「妻は日本で正社員として働いていて、キャリアを中断することに強い抵抗感がありました。家族会議では、将来的に復職するために現地でもできるリモートワークの可能性や、現地でのスキルアップ方法を一緒に検討しました。」
家族会議の進め方:5つのステップ
会議は「説明→傾聴→イメージ共有→選択→対策」の順で進めると、家族全員が納得感を持って動き出せます。

ステップ①:まずは「赴任の背景」を丁寧に説明する
赴任がなぜ必要なのか、どのくらいの期間なのか、どこの国か、どんなサポートがあるのか。情報を正確に共有することから始めましょう。
正直な情報共有が、家族の信頼の土台になります。
ポイント
- 嘘やごまかしはNG
- 不確定要素は「わからない」と正直に伝える
- 子どもには年齢に応じた言葉で
ステップ②:それぞれの「気持ち」を聞く時間を取る
一方的な説明会ではなく、全員が「自分の気持ちを聞いてもらえた」と感じられる場にすることが大切です。
一人ひとりの気持ちを丁寧に聞く時間を設けることで、家族の納得感が生まれます。 意見を否定せず、まずは受け止める姿勢を忘れずに。
小学生の子どもがいるCさん宅
「子どもから『友だちと離れるのがつらい』という話を聞いたときには、正直胸が痛みました。 でも、それを聞けたことで、帰国後にまた同じ学区に戻ることを約束できたのはよかったです。」
中学生の子どもがいたFさん家族(体験談を追加)
「当時13歳だった息子は、最初に赴任を伝えたとき『なんで俺だけ巻き込まれなきゃいけないんだ』と声を荒げて席を立ちました。 部活も、仲の良いグループも、好きな先生も——そのすべてを一度に失うかもしれないという恐怖だったと、後から話してくれました。
転換点になったのは、夫が『お前が嫌なら単身で行く。でも一緒に行けたら、俺は嬉しい』とだけ言ったこと。 命令でも説得でもなく、息子の選択を尊重してくれた一言が、彼の心を開いたようでした。 渡航後、現地の部活でレギュラーを取った日に『あのとき来てよかった』と言ってくれた瞬間は、今でも忘れられません。」
ステップ③:赴任後の「暮らし」を具体的に描く

現地での日常をリアルにイメージできるほど、家族の不安は「楽しみ」に変わっていきます。
現地での住まい、学校、仕事の環境、休日の過ごし方など、日常がどのようになるのかをできる限り共有しましょう。 「知らない」から怖いのであって、「知れば」前向きになれることがほとんどです。
おすすめの情報収集ツール
- グーグルマップで周辺環境を確認
- 現地のスーパーや学校の写真を見せる
- 現地在住者のVlogを一緒に見る(検索キーワード例:「〇〇(都市名)日本人 生活」「〇〇 インターナショナルスクール 子ども」)
ステップ④:「選択肢」を提示し、決定は一緒に行う
家族が「自分たちで決めた」と感じられることが、赴任後の前向きな姿勢につながります。
たとえば、帯同するかしないか、現地校に通うか日本人学校に通うか、住まいは社宅かコンドミニアムか… すべてを一方的に決めず、家族で相談して決めましょう。
家族会議で決めるべき優先事項の例:
緊急時の対応:かかりつけの病院候補、緊急連絡先の共有
住まい:社宅・コンドミニアム・現地アパートの比較、治安・通勤・通学のしやすさ
学校:現地校・インターナショナルスクール・日本人学校のそれぞれのメリットと費用
帯同の有無:時期・子どもの学年・パートナーの仕事状況を踏まえた検討
生活ルール:日本語環境の維持方法、帰国の頻度、家族間の連絡方法
帯同を辞退したDさんの妻
「夫は『できれば一緒に来てほしい』と言いました。でも娘は『来年、中学受験なのに?』と目に涙をためていました。何日も夫婦で悩み、カレンダーを見ながらタイミングを検討。最終的に、夫が『今だけ離れて、また一緒に暮らそう』と提案し、単身赴任を選びました。あの時、無理に帯同を決めなかったことは、今でも正解だったと思っています。」
ステップ⑤:不安に対する「対策」を立てる

「不安」を可視化して「対策」に変えることで、漠然とした恐怖が具体的な準備に変わります。
言語の壁、医療、不慣れな文化、子どもの教育、パートナーのキャリアなど、懸念点に対しては可能な限り具体的な対策を考えましょう。
| 不安 | 対策例 |
|---|---|
| 子どもの言語 | 現地到着前からオンライン英会話を開始 |
| パートナーの孤独 | 日本人コミュニティや現地ボランティア活動に参加 |
| 医療体制 | 国際病院をリストアップし、現地語の医療単語を覚える |
例えば、言語が心配であれば日本にいる間に少しでも慣れ親しんでおくことも可能です。我が家が渡米した際は、こちらの記事で紹介した方法で事前に英語に触れていたことでスムーズに現地に溶け込むことができました
家族の一体感が赴任の成否を分ける
赴任が成功するかどうかは、家族が同じ方向を向けるかどうかにかかっています。
家族会議は、ただの情報共有の場ではなく、「家族の未来を一緒に描く」大切な時間です。 差し迫る海外生活だけでなく、家族の将来像まで話し合えると理想的です。

差し迫る海外生活だけではく、家族の将来像まで話し合えるといいですね!
帰国後も「家族の絆が強まった」と語るEさん
「大変なことも多かったけれど、あのときしっかり話し合っておいたからこそ、家族がひとつになれたと感じています。何かあるたびに『あの家族会議でこう言ってたよね』と立ち返れる場所になっています。」
家族会議を効果的にするための工夫

時間と場所の工夫
- 落ち着いて話せる場所を選ぶ(外食よりも自宅がおすすめ)
- 一度で結論を出さず、何回かに分けて実施する
雰囲気づくり
- 意見を否定しない
- 付箋やホワイトボードを使って、視覚的にまとめる
「わが家ではダイニングテーブルに模造紙を広げ、中央に『家族の未来マップ』と題した円を描きました。付箋で『不安』『やってみたいこと』『知りたいこと』を色分けして貼っていくうちに、子どもたちもどんどんアイデアを出してくれました。“週末は現地の公園探検に行く”という目標まで決まりました。」
- 小さな子どもも参加できる工夫(お絵かきで気持ちを表現)
必ず議事録を残す
- 話した内容はメモに残して、後から確認できるようにする
まとめ:赴任は「家族の共同プロジェクト」
海外赴任は、人生の転機であり、大きなチャレンジです。 しかしそれは「家族の力を試す機会」でもあります。 最初に開く家族会議が、その後の数年間の暮らしを左右すると言っても過言ではありません。
不安も悩みもすべて正直に出し合い、家族一丸となって準備を進めていきましょう。
まず今日、この3つから始めてみてください。
- グーグルマップで赴任先の街を家族みんなで開き、住みたいエリアに印をつけてみる
- 3色の付箋を用意して「不安」「楽しみ」「知りたいこと」を家族それぞれが書き出す
- YouTubeで「〇〇(赴任先都市名)日本人 生活」と検索し、気になる動画を1本一緒に見る
あなたの家族にとって、この海外赴任がかけがえのない時間になりますように。

実はこの家族会議、海外に行くと何度も行うことになると思います。まず人生の転機となるこのタイミングでしっかり話し合いましょう!
(※本記事は実際の海外赴任経験者の体験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点から、一部内容を編集・加工しています)



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