英語ゼロから現地校へ|娘が“Hi”を理解するまでの1年の記録

現地校・教育事情
ニーチェ
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この記事を当時のことを思い出しながら私の母に執筆いただきました!

「英語が一言も話せないのに、現地校で生活できるのだろうか?」――渡米が決まったとき、家族全員が真っ先に抱えたのはその不安でした。

特に小学2年生だった娘は、知っている英語といえば“Hi”さえピンと来ない程度。私たち親にとっても未知の世界への挑戦でした。この記事では、そんな娘が不安いっぱいでアメリカの学校に通い始め、少しずつ英語や友だちとの関わりを築き上げていく過程を、“親目線での学びと工夫”も交えて紹介します。

渡米前の準備:語彙ゼロからのスタート

渡米が決まってからの2ヶ月間、家庭でできる範囲での準備を始めました。

渡米前の2か月間は「できる範囲のことを、毎日コツコツと」が合言葉でした。具体的には英語の歌を一緒に口ずさみ、夜は英語と日本語の両方で書かれた絵本を音読し、自己紹介だけは丸暗記するほど練習しました。

ただ、この時期は“勉強”というより“英語との接触に慣れる”ことを重視。親としても「嫌いにならない」ことを最優先に考え、遊びや会話の延長として取り組みました。

当時の本人の反応は、「なんとなく聞いてるけど、よく分からない…」というレベル。それでも、「英語って楽しいかも」と感じてもらえるよう、“英語嫌いにさせない”ことを意識しました。

登校初日:親子ともに緊張の朝

現地校に通う初日。事前に担任の先生とのZoom面談は済ませており、学校の雰囲気はある程度つかんでいましたが、当日はやはり親子ともに緊張。

  • 朝は「何着ていけばいいの?みんなと違ってたらどうしよう…」と不安顔
  • 教室の入口で先生に連れられていく娘の背中を、泣きそうな気持ちで見送る

たまたま同じクラスに、韓国から来たばかりの女の子がいて、すぐに意気投合したのは幸運でした。英語は話せなくても、表情とジェスチャー、遊び心があれば友達になれるということを、子ども自身が身をもって実感した日でもありました。

最初の1ヶ月:言葉がわからない毎日

英語の授業はすべてネイティブスピードで進み、当然ながら娘はほとんど理解できず。

しかし、学校側のサポート体制は充実していました。

  • ESL(English as a Second Language)クラスに週3回参加
  • 担任の先生が「今から読むよ」「大事なことだよ」などのキーワードをゆっくり・はっきり伝えてくれる
  • クラスメイトが「これは“apple”だよ」「トイレはこっち」と教えてくれる

最初は帰宅後に「何もわからなかった」「疲れた」と泣いていた娘が、2週間ほどで“学校楽しいかも”と言い始めたのは、正直予想以上でした。

親のサポート:家でできること、やめたこと

私たち親がやったことは、英語の勉強を無理強いすることではなく、

  • 毎日「今日、誰と何したの?」「何が楽しかった?」と日本語で話す
  • 「通じなくてもいい。伝えようとすることが大事」と伝え続ける
  • 絵日記を書く習慣をつけ、“英語で一言だけ書いてみる”よう促す

逆にやめたことは、

  • 文法の細かい勉強(本人が混乱)
  • 完璧な発音を求めること(伝わればOK)
  • 「頑張らないとダメ」とプレッシャーをかける言い回し

結果として、娘は「英語を習っている」ではなく「英語で遊んでいる」「英語で誰かと通じると嬉しい」と感じられるようになっていきました。

3ヶ月目:初めての“英語で笑えた”瞬間

ある日、学校から帰ってきた娘がこう言いました。

「先生がジョーク言ったの、ちょっとだけ分かって、私も笑えた」

その瞬間の表情は、忘れられません。本人にとって「言葉の壁が少し崩れた」という感覚だったのでしょう。先生が黒板に書いた一言を後から調べたところ、どうやら“ダジャレ”のような英語ジョークだったらしく、

  • 英語の音感に慣れてきた証拠
  • 内容理解まではいかなくても“文脈”を感じ取れたこと

この日は家族全員で「すごいね!」とお祝いしました。

半年後の変化:話すより“理解する”が先だった

英語学習でよく言われる「聞く→理解する→話す」という順序を実感したのが、半年ほど経ったころ。

最初は“話せない”ことに親として焦っていましたが、実は

  • 授業内容をある程度聞き取れる
  • 指示に従って行動できる
  • 単語ベースで返事ができる

など、「話す前に理解できるようになる」プロセスを経て、少しずつ英語のフレーズも口から出るようになっていきました。

1年後:堂々と“Show and Tell”に挑戦

1年が経つころには、娘が「自分の好きなものを紹介する時間(Show and Tell)」で、好きなキャラクターのぬいぐるみを英語で紹介するというチャレンジを自ら提案。

  • 練習は前日から家族でサポート
  • 簡単な文章を本人が考え、暗記せず“自分の言葉”で話す練習
  • 当日は友達も先生も大きな拍手で応援

先生から「堂々としていて、去年のあの子とは思えなかったよ!」とメールをもらい、涙が出るほど嬉しかったです。

まとめ:言葉は“武器”じゃなく“つながりのきっかけ”

英語が話せない状態から現地校に通い始めた娘が、言葉を少しずつ“自分のもの”として使えるようになるまでの過程は、親にとっても大きな学びでした。

  • “伝わる”体験が増えることで、自信がつく
  • 学校側の支援体制も、予想以上に手厚い
  • 完璧を目指すより、“通じる喜び”を一緒に味わうことが大切

英語を話せないところから始まった娘の現地校生活は、決して順調ではありませんでした。それでも“笑える瞬間”や“伝わった体験”を積み重ねることで、言葉は「壁」ではなく「架け橋」になっていきました。

親としても、無理に詰め込むより「楽しみながら通じる」経験を大事にする姿勢が重要だと学びました。同じ不安を抱えるご家庭にとって、「完璧じゃなくてもいい」という気づきが少しでも安心につながれば嬉しいです。

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