“もしも”に備える親の準備力:海外生活前にやってよかった子どもの健康管理

渡航準備・出発前

「海外に行く前って、正直何を優先すればいいの?」

渡航が決まった夜、夫婦でそんな会話を交わしました。ただ、もっと心配だったのは、自宅で娘が突然高熱を出したあの夜のこと。

感染症の混在する土地で、子どもの体調をどう守るか……そのとき初めて「健康と予防接種の本気の備え」が必要だと感じました。

気候・風土・医療事情が日本と異なる海外では、思わぬ病気やトラブルに直面することも少なくありません。特に幼い子どもがいる家庭では、渡航前の準備が健康維持の鍵を握ります。

今回は、実際に海外生活を経験した家庭のリアルな体験談を交えながら、子どもの健康管理と予防接種について、出発前に押さえておきたいポイントをまとめました。

渡航前に確認すべき健康情報とは?

体験談①:インドネシア赴任で見落としていた「水」事情

夫の海外赴任に同行して、5歳の娘と共にインドネシアに引っ越しました。赴任してたった3週間目の夜、娘が38.8度の熱で嘔吐…。

翌朝、寝ぼけた顔で「ママ、お腹痛い…」と涙ぐんでいました。

原因は、現地の露店で買ったスイカ。水道水で洗っただけの殻には、細かい虫や菌が。

日本では考えられない虫混入にも気づかず、翌日には娘がぐったり。ペットボトルの水、フルーツは熱湯消毒、うがいや歯磨きもミネラルウォーター。

その週末、地域の薬局で解毒剤キットを入手し、なんとか回復したのです。

日本では当たり前の「水の清潔さ」が、海外では大きなリスクになると痛感しました。

対策

  • 飲料水は必ずペットボトルや浄水器を使用
  • 果物や野菜は煮沸または塩水で洗浄
  • 歯磨きのうがいもミネラルウォーターで

チェックポイント

  • 現地の気候(高温多湿、乾燥など)
  • 現地で流行している感染症(デング熱、マラリアなど)
  • 医療機関の有無や日本語対応の有無

渡航前に受けるべき予防接種とは?

体験談②:予防接種の予約が取れず焦った!

オーストラリアへの移住が決まり、予防接種の確認をしようと小児科に行ったのが渡航2ヶ月前。

必要とされたのはB型肝炎、A型肝炎、狂犬病の任意接種。
ところが予約枠は半年先までいっぱいで、スケジュール調整がカオスに。結局、土曜診療や近郊の診療所を駆け回って、出発前の週にすべて完了しました。

「焦ってでも問い合わせてよかった」と今でも思います。早め早めのアクションが命取りになると痛感しました。

教訓

  • 渡航先が決まったら、すぐに「渡航外来」または「トラベルクリニック」へ相談を
  • 定期接種以外に「任意接種」も視野に入れて

必須・推奨される予防接種(地域によって異なります)

  • B型肝炎
  • A型肝炎
  • 日本脳炎
  • 狂犬病
  • 破傷風
  • 髄膜炎菌ワクチン
  • 麻しん・風しん(MR)

特に任意接種は保険が効かず費用がかさむ場合があるため、余裕を持ったスケジュールと予算組みが重要です。

常備薬・救急セットの準備も忘れずに

体験談③:現地の薬が合わなかった息子

バンコクでのある晩、息子が「虫に刺された!」と泣きながら帰宅。塗ったかゆみ止めで腕が真っ赤に腫れ上がり、涙。

現地の皮膚科へ駆け込むと、受付の英語質問に親子で頭が真っ白に。「日本のムヒがあれば…」と強く思いました。

結局、病院で鎮静剤を処方してもらいましたが、その夜から常備薬は英語ラベル+服用メモつきで携帯するようにしました。

教訓

  • 普段使っている薬や医師から処方された薬は日本から持参
  • 小分けケースで整理し、使用方法を英語メモ付きで

推奨される常備薬リスト

  • 解熱剤(カロナールなど)
  • かゆみ止め(ムヒ、キンカンなど)
  • 消毒液、絆創膏、ガーゼ
  • 下痢止め、整腸剤
  • 酔い止め薬
  • 虫除けスプレー

日本で発行しておくべき健康関連書類

体験談④:病院での問診票が読めなかった!

パリで、娘が高熱を出した夜、母子手帳を見ながら英語アプリで「Febrile seizures(熱性けいれん)」と調べました。現地医師もスマホの小さな画面に目を落とし、「OK」とうなずいた瞬間、ようやく安心できました。

その後、家族ぐるみで同じ手帳と英文コピーを渡航前に準備。現地でもスムーズに受診ができるようになりました。

推奨される書類

  • 母子手帳のコピー(英訳つきがベター)
  • 予防接種の履歴表(日本語+英語)
  • アレルギーや常用薬情報(翻訳メモも)
  • 健康診断書(学校提出用に)

また、海外旅行保険の加入も必須です。小児科や救急受診の費用は高額になることがあるため、保険証券や連絡先はスマホにも保存しておくと安心です。

健康管理アプリの活用と現地の医療情報

体験談⑤:現地で頼れる医療機関が見つからず苦労

アメリカに渡った当初、夜中に娘が高熱を出したとき、どの病院に行けばいいのか分からず、保険会社に電話して紹介してもらいました。

対策

  • 渡航前に日本語対応の病院情報をリストアップ
  • Google Mapで位置・営業時間・レビューを確認
  • 現地で使える健康管理アプリ(WebMDなど)をインストール

また、日本の「母子健康手帳アプリ」や「小児救急ガイド」アプリも、渡航後の心強い味方になります。

日常的な健康管理のコツ

体験談⑥:現地の給食に苦戦した娘

アメリカの現地校に通う娘が、給食のピザやフライドポテトが続いて体調を崩しがちに。毎日お弁当を持たせることで、体調が安定しました。

日常で気をつけたいこと

  • 食生活の偏りを避ける(野菜・果物・発酵食品の摂取)
  • 睡眠リズムを整える
  • 水分補給をこまめに(気候に応じて)
  • 手洗いうがいの徹底(現地に応じた方法で)

また、親自身も体調管理を怠らないことが、子どもへの健康リスクを減らす第一歩になります。

最後に:健康こそが“安心の土台”

海外での生活は、文化や言葉だけでなく、医療や衛生環境も大きく異なります。だからこそ、事前の準備が子どもの「安心」や「安全」に直結します。

親としてできるのは、「備えること」と「予測すること」。そして、何より「無理せず対応する」柔軟さです。

万が一のときに慌てず済むよう、この記事があなたの準備の一助になれば幸いです。

子どもたちが元気に、そして安心して海外生活を送れるように。丁寧な準備を、一歩ずつ積み重ねていきましょう。

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