海外渡航前、子どもが泣いた日――不安を和らげた“親のひと言”とは?

渡航準備・出発前
ニーチェ
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執筆者:ニーチェ(当ブログ運営者) 中学生の時に父の海外赴任でアメリカ・カリフォルニア州へ渡航。英語がほとんど話せない状態から現地校に通った経験を持つ。現在は帰国し、社会人として自身の体験を発信中。

海外転勤や留学、家族での長期滞在など、子どもにとって渡航は大きな転機です。親にとってはワクワクと不安の入り混じるイベントかもしれませんが、子どもにとっては“今ある日常”が大きく揺らぐ体験でもあります。

今回は、実際に海外渡航を経験した家族の体験談を交えながら、「子どもが渡航前に感じた不安」と「親の声かけや対応」についてご紹介します。

ニーチェ
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実際に駐在に帯同した子どもとして、日本から海外への生活は劇的な変化でした。

「友だちと離れたくない…」という寂しさ

友だちとの別れは、子どもにとって”今の世界が終わる”感覚に近いもの。まずはその気持ちを丸ごと受け止めることが出発点です。

とある家族がアメリカに赴任することが決まったのは、子どもが小学校6年生の冬でした。学校で仲の良い友だちと毎日のように遊び、誕生日会やクリスマス会も楽しんでいた頃。

その子は布団の中でぽつんと、「なんで、いかなきゃいけないの…」とつぶやきました。
お風呂上がり、濡れた髪のまま。目は赤く、声もかすれていました。

昼間、親友に「3月に引っ越す」と伝えたそうです。「じゃあ、もう誕生日パーティーできないね」って言われたのが、すごく悲しかった、と。「せっかく仲良くなれたのに、なんでバイバイしなきゃいけないの?」

親としても胸が痛む瞬間だったそうです。

親の声かけと対応

「友だちと離れるのは寂しいよね。○○ちゃんもきっと寂しいと思ってるよ。お手紙も書こうよ。日本に帰ってきたときには、また会えるよ

実際にその子は、友だちから手紙をもらい、渡航先でもやり取りを続けていました。オンライン上でも“つながり”が保たれていることで、少しずつ前向きになっていきました。

「言葉が通じないかもしれない」という不安

英語に自信がなかった子ども

言語への不安は、子どもが最も正直に口にする恐怖。「分からなくていい」という許可の言葉が、踏み出す勇気になります。

中学1年生の子を連れてアメリカに引っ越すことが決まったとき、本人が最も不安に感じていたのが「英語が話せないこと」でした。 「授業、全部英語なんでしょ?先生が何言ってるか分からなかったらどうしよう…」 それまでは英語塾にも通っておらず、英語にまったく自信がなかった息子。

出発の1ヶ月前からは夜に眠れなくなることもありました。

親の声かけと対応

「最初はみんな分からなくて当然だよ。向こうの学校も”英語が母語じゃない子”に慣れてるから、サポートもちゃんとしてくれるはず」 「何が分からなかったかをメモしておくだけでも大丈夫。あとで先生に質問すればいいよ」

「Hello」って言うだけでも、最初はものすごく緊張していた息子。 でも、ある日オンラインレッスンのあと「今日、先生が笑ってくれてちょっと嬉しかった」と言いました。 その一言が、家族みんなにとって大きな安心につながったのを今でも覚えています。

本人が語る「救われた言葉」と「NGだった言葉」

当時13歳だった子は、渡航後に振り返ってこう話してくれました。

「一番心強かったのは『分からなくていい、メモするだけでいい』って言ってくれたこと。 完璧にやらなきゃいけないって思い込んでたから、それだけで気がラクになった」

逆に、不安を煽られたと感じた言葉もあったそうです。 「『英語くらいすぐ慣れるよ』って言われると、慣れなかった自分がダメみたいで余計しんどかった。 あと、『向こうの子は優しいから大丈夫』って言われても、会ったことない人のことは信じられなかった」

親が励ますつもりで言った言葉が、子どもには”気持ちを軽く扱われた”と映ることがある。 不安を否定せず、「そう感じるのも当然」と受け止めることが、何より大切な第一歩です。

「新しい環境に馴染めるか」の不安

人見知りな子ほど、「完璧にやらなきゃ」と思い込みやすい。スモールステップで自信を積み上げる声かけが効果的です。

内向的な性格の長男の不安

アメリカに赴任することが決まったある家族のケース。小学校高学年の長男はもともと人見知りで、新しい環境になじむのに時間がかかるタイプでした。

「新しい学校、どんな人がいるか分からないし、誰も話しかけてくれなかったら…」

そう口にする息子に対して、母親は次のような声かけをしました。

親の声かけと対応

「最初は誰でもドキドキするよ。でも、向こうにも“新しい友だち”を探してる子がいるよ。無理に話さなくても、“にっこり”するだけで印象って変わるんだよ」

「まずは先生に自分から“よろしくお願いします”って言えたら、それだけで自分を褒めていいと思う」

こうした“スモールステップ”を大切にして声かけすることで、息子自身が「完璧にやらなきゃ」と思い込まずにいられるようになったそうです。

渡航に向けて、親子でできる“心の準備”

「知ること」と「想像すること」が、子どもの不安を楽しみに変える最大の武器です。

子どもが渡航前に抱きやすい不安と、親の推奨対応をまとめると次のとおりです。

不安の種類推奨される親の対応
友だちと離れる寂しさ手紙・オンラインでのつながりを一緒に準備する
言葉が通じない恐怖「分からなくていい」と許可を与え、小さな成功体験を積む
馴染めるか分からない不安スモールステップで目標を設定し、達成を一緒に喜ぶ
未知の生活への漠然とした恐れ現地の写真・動画・体験談で”知ること”から始める

海外駐在に英語の不安はつきもの。こちらの記事も参考にしてくださいね。

家族での「未来日記」を書く

未来の生活を親子で想像するのも、不安を和らげる有効な手段です。たとえば「1年後の自分に手紙を書く」といった活動。

「○月○日、ぼくは英語で友だちに『Good morning』って言えた。サッカークラブにも入って、今日は試合の日。お父さんと一緒に応援に行くんだ」

親子で“ポジティブな未来像”を共有することで、楽しみな要素を育てることができます。

子ども向けの海外生活体験談を一緒に読む

実際に海外生活をした子どもたちのエッセイや動画などを活用するのも一案です。 YouTubeやSNSには、日本人の子どもが現地の学校での生活を紹介するコンテンツが多くあります。

検索するときは「○○(都市名)小学生 現地校」「日本人 インターナショナルスクール 登校Vlog」といったキーワードが有効で、登録者数よりも子どもの年齢が近いチャンネルを優先すると、より共感しやすい内容が見つかりやすいです。

「ほら、この子も最初は不安だったけど、今は友だちもできて楽しそうだね」自分と似た状況の人のストーリーを知ることで、安心感を得やすくなります。

「一緒に感じ、一緒に乗り越える」ことが大切

子どもの不安を”解決すべき問題”として扱うのではなく、”一緒に感じる感情”として受け止めることが、親として最も大切な姿勢です。

渡航前の子どもにとって不安は自然なもの。 親としては「励まそう」と焦るあまり、不安を否定してしまいがちです。 「そんなこと気にしなくていいよ」ではなく、「そう感じるのも当然だよ」と共感し、寄り添う姿勢が大切です。

大切なのは、”正解”を示すことではなく、”味方でいる”こと。

「どんなときも、ママは味方だからね」

渡航直前の夜、娘の手を握って私がそう伝えた瞬間。 娘はうなずき、何も言わずにそのまま私の腕に顔を埋めました。海外生活が始まってからも、いくつもの不安や戸惑いはありました。 でも、あのときの”ひと言”が、私たち家族にとって「原点」になったように思います。


今日、お子さんと一緒に試してほしい3つのこと

  1. 「未来日記」の1行目を一緒に書いてみる(例:「現地で一番やってみたいことは○○」)
  2. グーグルマップで現地の学校や公園を開き、「ここ行ってみたい」を指差ししてみる
  3. YouTubeで「○○(赴任先)小学生 現地校」と検索し、同年代の子のVlogを1本一緒に見る

小さな一歩が、子どもの「不安」を「楽しみ」に変えていきます。

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