外環道逆走女は包丁を所持|逮捕容疑は道交法でなく銃刀法|外環道逆走事件

東京外環道を乗用車が逆走した事件で、外環道逆走の女性が何の容疑で逮捕されたのかに関心が集まっています。約10キロを逆走し6時間以上逃走したにもかかわらず、逮捕容疑は道路交通法違反ではなく銃刀法違反でした。車内に刃渡り15センチの包丁があったためです。ここでは外環道逆走事件の容疑と経緯を整理します。

外環道逆走の女性は刃渡り15センチの包丁を所持していた

先に答えを書きますと、外環道を逆走した自称55歳の女性が現行犯逮捕された容疑は、銃刀法違反です。

逆走や逃走そのものではなく、車内に刃渡り15センチの包丁を所持していたことが逮捕の直接の理由になりました。報道各社はこの点を一致して伝えています。

「高速道路を10キロも逆走したのに、なぜ道路交通法違反ではないのか」と疑問に思った方も多いはずです。この違いには理由があります。

逆走や公務執行妨害は今後の捜査対象とされている

道路交通法違反が容疑から外れているわけではありません。

日テレNEWS NNNなどの報道によりますと、警視庁は今後、公務執行妨害や道路交通法違反の容疑も視野に捜査を進めるとしています。つまり現時点では銃刀法違反での逮捕にとどまっているだけで、他の容疑がなくなったわけではないということになります。

現行犯逮捕は、その場で確認できた事実にもとづいて行われます。車内の包丁は警察官がその場で目視できるものですが、逆走やパトカーへの衝突は、走行記録や現場検証を積み上げて立件していく必要があります。確実に押さえられる容疑で先に身柄を確保した形とみることもできそうです。

銃刀法は刃体6センチを超える刃物の携帯を禁止している

では、包丁を車に積んでいるだけで逮捕されるのでしょうか。ここは多くの人が気になる部分です。

警視庁のウェブサイトによりますと、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)は刃体が6センチメートルを超える刃物について、「業務その他正当な理由による場合を除いては、これを携帯してはならない」と定めています。罰則は2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。

今回の刃渡り15センチという包丁は、この基準を大きく超えています。

ポイントは「正当な理由」です。警視庁は正当な理由の例として、刃物を購入して自宅に持ち帰る場合や、調理師が仕事場へ向かう際に包丁を携帯する場合を挙げています。そして**「護身用」は正当な理由に該当しない**と明記しています。

さらに6センチ以下であっても、隠して携帯していれば軽犯罪法の対象になり、拘留または科料が科されることがあります。ツールナイフやはさみ、カッターナイフも対象です。

つまり包丁を車に積んでいること自体が直ちに違法になるわけではなく、そこに正当な理由があるかどうかが問われる仕組みになっています。

外環道逆走の逃走は約6時間10分に及んでいる

事件の経緯も整理しておきます。

始まりは9月9日の午前9時半ごろでした。京葉道路上りの松ヶ丘インターチェンジ出口付近で車が路肩に停車し、警察官が職務質問と移動の命令を行いましたが、女性はこれを約1時間にわたって拒否しています。

午前11時19分ごろ、車は東関東自動車道でパトカー3台に衝突。読売新聞オンラインは「警察車両にぶつかりながら一時逃走」と伝えています。その後、高谷ジャンクションを経由して東京外環道に入り、約10キロを逆走しました。外環道は午前11時30分から一時通行止めとなっています。

逃走ルートは京葉道路から東関東道、外環道を経て、最終的に東京都心へ。午後になって渋谷駅近くの六本木通りで確保され、逃走は計約6時間10分に及びました。

確保の場面では警察官3人がかりで車から引き出されている

確保の瞬間は映像に残っています。

FNNプライムオンラインは、警察官3人がかりで女性を車から引きずり出す確保の瞬間を報じ、追跡していたパトカーのバンパーが破損していたことも伝えました。

また逆走する車の様子が他のドライバーのドライブレコーダーに記録されており、SNS上で拡散しています。対向車線を走ってくる車と、それを追うパトカーが映った映像は、見た人に強い印象を残しました。

逮捕された女性はその後釈放され緊急入院している

この事件には続きがあります。

日テレNEWS NNNやテレビ朝日によりますと、警視庁は逮捕した女性を釈放しました。病院での診察の結果、責任能力に問題がある可能性があるとして、入院が必要と判断されたためです。

「逆走して逮捕されたのに釈放されたのか」と受け取られがちですが、警視庁が示しているのは責任能力についての可能性であり、それ以上の詳しい説明は出ていません。捜査そのものが終わったという発表もありません。

銃刀法違反はもともと長期勾留される類型ではない

釈放を理解するうえで、前提として押さえておきたいことがあります。

今回の逮捕容疑である銃刀法違反の法定刑は、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。仮に公務執行妨害や道路交通法違反が加わったとしても、身柄が何か月も拘束されるような重い類型ではありません。

刑事手続きの流れも押さえておきます。逮捕された人は原則として48時間以内に検察官へ送致され、検察官はさらに24時間以内に勾留を請求するかどうかを判断します。勾留が認められれば10日間、延長でさらに10日間という形で身柄の拘束が続きます。

逆に言えば、この手続きに乗せる必要がないと判断されれば、釈放されるのは珍しいことではありません。今回は診察の結果、入院が必要と判断されたことが釈放の理由として報じられています。

「釈放」という言葉から無罪放免を連想する方も多いのですが、捜査が終わったわけでも、容疑が晴れたわけでもありません。警視庁は公務執行妨害や道路交通法違反の容疑も視野に捜査を続けるとしています。

ネット上では「実質の医療保護」という指摘が出ている

この釈放をめぐって、ネット上では制度面に踏み込んだ指摘が出ています。

Togetterにまとめられた投稿には、次のようなものがありました。

「釈放と言っても医療保護に切り替えただけだから決して野放しにしたわけじゃないからね」

「外環逆走と包丁を車に積んでた程度では、懲役も拘禁刑もあるわけないから、釈放して保護名目で精神病院に入れてる実質の拘禁刑」

どちらも、釈放イコール自由になったわけではないという点を説明しようとする投稿です。感情的な反応というより、刑事手続きと医療の関係を整理した指摘になっています。

前の見出しで見た法定刑の軽さを踏まえると、2つ目の投稿が言っている「懲役も拘禁刑もあるわけないから」という部分は、制度上の実感としては的を射た読み方ということになります。

なお、こうした見方はあくまでネット上の投稿であり、警視庁が手続きの中身について説明したものではありません。

外環道逆走事件に残された疑問

現時点で分かっているのは、外環道を逆走した自称55歳の女性が刃渡り15センチの包丁を所持しており、その銃刀法違反で現行犯逮捕されたこと。約10キロの逆走を含む逃走は約6時間10分に及んだこと。そして診察の結果、釈放され緊急入院したことです。

一方で分かっていないことも多く残ります。なぜ最初に路肩へ停車していたのか、なぜ移動の命令に応じなかったのか、なぜ包丁を積んでいたのか。いずれも説明は出ていません。公務執行妨害や道路交通法違反での立件がどうなるのかも、今後の判断を待つことになります。

なお、女性の氏名は現時点で公表されていません。逮捕はされたものの釈放されており、起訴されるかどうかも決まっていない段階です。あわせて警視庁が責任能力について言及していることもあり、この記事では氏名や個人を特定する情報については扱いません。ネット上には特定を試みる投稿も見られますが、確度のある情報は確認できませんでした。

外環道逆走事件は、逮捕容疑が銃刀法違反だったという点だけを見ても、まだ全体像が見えていない段階です。続報にも関心が集まっています。

新情報が入り次第、追記します。

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