アメリカの現地校に転入したわが子にとって、一番最初の大きなチャレンジは「友達づくり」でした。文化も言語も違う場所で、知っている顔もいない教室に入っていくのは、大人にとっても緊張すること。ましてや子どもにとっては、大きな不安を伴うスタートでした。
そんなとき、親としてできることは「子どもの代わりに友達をつくってあげる」ことではありません。子どもが自分の力でつながりを築けるよう、環境を整え、気持ちを支え、時には背中を押してあげること。それが何より大切だと感じた経験をもとに、この記事では「初めての友達づくりで親ができること」をお伝えします。
入学初日の様子と子どもの反応

初登校の日、我が子は朝から緊張していました。制服もなく、自由な服装で登校するスタイルにすらまだ慣れておらず、登校直前まで「ママ、一緒に来て」と手を握ってきました。
実際の様子:
学校に着くと、担任の先生は笑顔で迎えてくれましたが、教室の中では、すでにグループができている雰囲気。英語が聞き取れず、自己紹介も一言ずつ練習して臨みましたが、返ってきた言葉が理解できず、「え?」と聞き返すこともありました。
昼休みに様子を見に行くと、ひとりでお弁当を食べている姿がありました。こちらから話しかけたくても、どこからどう話せばいいかわからず、ただ時間が過ぎていくような数日間が続きました。
最初の“壁”は言葉ではなく「入り方」
「英語が話せないから友達ができない」というよりも、実際には「どこに入ればいいのか分からない」「話しかけるタイミングがつかめない」といった、**“入り方の壁”**が大きいと感じました。
対応したこと:
- クラスメイトの名前を覚えるよう一緒に名簿をチェック
- 毎日帰宅後に、「今日は誰と話せた?」「困ったことはあった?」と聞く習慣を作る
- 英語でのあいさつや会話の“型”を一緒に練習
少しずつ「今日“Hi”って言えた」「名前で呼ばれた」と報告が増えてきました。
プレイデート(遊ぶ約束)という文化への戸惑い

アメリカでは、放課後や週末に家に招いたり招かれたりする「プレイデート」が、友達関係を深める大事な場面になります。
初めてのプレイデート体験:
学校で一緒になった子のママが「今度うちで遊ばない?」と声をかけてくれたのですが、英語でのやり取りや訪問マナー、送り迎えのタイミングなど、親の私もドキドキ。
それでも、「一緒に遊べた」「また誘ってくれた!」と子どもが喜んでいる姿を見て、勇気を出して良かったと感じました。
親ができる工夫:
- 学校の保護者向けアプリやクラス名簿を使って、他の親とつながる
- 一度招かれたら、こちらからも招くことで関係を対等に
- 簡単な英語のテンプレートを使って連絡文を用意しておく
子どもの性格別アプローチ
友達づくりにおいては、子どもの性格に合わせたサポートが効果的です。
積極的なタイプ:
- 会話の内容よりも、どんどん輪に入る行動力がカギ
- 「間違ってもいいから話す」ことの大切さを伝える
慎重なタイプ:
- 無理に押し出さず、まずは“1人でも安心して過ごせる居場所”づくりから
- 担任や学校スタッフと連携し、理解者を増やす
現地校ならではの“友達になるきっかけ”

日本の学校と異なり、アメリカの現地校では以下のような自然な関係構築の場が多くあります:
- クラス内で“バディ制度”がある
- グループプロジェクトで強制的に一緒に作業する
- 自己紹介カードや絵日記を使った交流
我が子も、図工の授業で同じ机になった子と笑いながら作品を見せ合ったことがきっかけで、初めて「仲良くなれたかも」と感じたそうです。
親が“やりすぎない”ことの大切さ
子どもがなかなか友達ができないと、「何とかしなきゃ」と焦る気持ちになります。でも、親が先回りしすぎることで、子どもが自分で乗り越えるチャンスを奪ってしまうことも。
心がけたこと:
- アドバイスは“求められたときだけ”にする
- 毎日の「聞き役」になること
- 学校の先生やスクールカウンセラーに定期的に相談する(子どもに直接ではなく)
最初の1人ができれば、世界が変わる

「今日、一緒にランチ食べた」「名前呼ばれて嬉しかった」——そんな一言が出るようになると、子どもの表情が変わります。最初の1人ができると、そこから関係は一気に広がることもあります。
親のサポートまとめ:
- 子どもが安心できる“居場所”づくり
- 家で英語や会話の練習
- プレイデートなどの交流の場を増やす
- 学校と連携して見守る
おわりに:友達づくりは“親子の共同作業”
アメリカでの生活は、子どもにとっても親にとっても未知の連続。友達づくりという一大テーマも、最初は戸惑いや不安がつきものです。
でも、そのプロセスに寄り添い、そっと背中を押すことで、子どもは少しずつ自分の世界を広げていきます。
親ができるのは、手を引っ張ることではなく、安心して一歩を踏み出せる“空気”をつくってあげること。
この記事が、海外での友達づくりに悩むご家庭の一助になれば幸いです。
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