赤い羽根共同募金で1億8000万円が使途不明になっている問題で、赤い羽根の元事務局長は誰なのかに関心が集まっています。舞台は北海道共同募金会で、元事務局長は会計責任者を兼ねていた50代の男性。すでに7月、着服の疑いで懲戒解雇されています。ここでは赤い羽根の元事務局長について、公開資料まで当たってどこまで分かるのかを整理します。
赤い羽根元事務局長は会計責任者を兼任していた

先に結論を書きますと、今回の使途不明金問題で名前が挙がっている赤い羽根の元事務局長は、北海道共同募金会に勤めていた50代の男性です。
そして重要なのは肩書です。UHB北海道文化放送の報道によりますと、この元事務局長は会計責任者を兼ねていました。事務方のトップであると同時に、お金の出入りを管理する立場そのものだったということになります。
HTB北海道ニュースも「北海道共同募金会で1億8000万円が使途不明 50代事務局長が着服か 懲戒解雇へ」と伝えており、複数の放送局が同じ人物像を報じています。
チェックする側とされる側が同一人物だった。この構造が、今回の問題を長期化させた背景として浮かび上がります。
発端は2026年2月の国税局査察で所得税法違反の嫌疑だった
ここが今回いちばん見落とされている点かもしれません。この問題、募金会の内部調査から始まったわけではありませんでした。
北海道共同募金会が公式サイトに掲載した「本会に関する報道について」という告知には、経緯がかなり具体的に書かれています。それによりますと、発端は2026年2月17日、事務局長に対する所得税法違反の嫌疑で国税局の査察が入ったことでした。
所得税法違反の嫌疑ということは、募金会のお金の問題としてではなく、まず個人の所得をめぐる疑いとして国税当局が動いたことになります。
この査察により、募金会の会計資料はほとんどが押収されました。そして3月末になって、募金会は自らの資金が「相当額不足している可能性」を確認したと説明しています。簿外処理が多数存在していたことも、この告知の中で認められています。
つまり外から入った強制調査がなければ、発覚はもっと遅れていた可能性があります。
会計資料の押収後に募金会は弁護士へ調査を依頼している
告知に沿って、その後の流れも見ておきます。
北海道共同募金会は3月末に弁護士へ調査を依頼し、4月中に調査報告を受領。ゴールデンウィーク明けに初回の報告を受け、関係各所への報告を進めたとしています。そのうえで6月15日に記者会見を開き、報告できる範囲を公表する方針を示していました。
告知の中で募金会は寄付者に対して「深くお詫び申し上げます」とし、事務局長による「使途不明金の発生という大変重大な不祥事」と表現しています。
2月の査察から6月の記者会見まで、約4か月かけて事実を固めていった形です。
赤い羽根元事務局長は7月に着服の疑いで懲戒解雇されている
処分はすでに済んでいます。
UHB北海道文化放送によりますと、北海道共同募金会は7月、着服の疑いがあるとして元事務局長を懲戒解雇しました。同会は元事務局長が「不正な会計処理を繰り返していたとみて」調査を実施したとされています。
そのうえで、募金会は刑事告訴などをする方針を固めています。STVニュース北海道も「元事務局長の刑事告訴を検討」と伝えており、告訴に向けて動いている段階です。
押さえておきたいのは、現時点では逮捕も起訴もされていないという点です。あくまで「着服の疑い」であり、刑事手続きはこれからということになります。
赤い羽根元事務局長の氏名は公開資料を当たっても確認できなかった
読者がいちばん知りたい「誰なのか」については、正直に書きます。調べた範囲を残しておきます。
まず報道です。共同通信、日本経済新聞、北海道新聞、HTB、UHB、STVの各社を確認しましたが、いずれも「元事務局長」「50代の男性」という表記にとどまり、氏名を報じている社は1社もありませんでした。
次に公開資料です。社会福祉法人は現況報告書などの情報公開が求められているため、北海道共同募金会が公開している現況報告書にも当たりました。そこには理事長・業務執行理事・監事3名の氏名や、評議員が51名いることまで記載されています。しかし事務局長という役職の氏名は、この報告書には記載されていませんでした。
中央共同募金会の赤い羽根公式サイトにも「社会福祉法人北海道共同募金会における事案について」という告知が出ていますが、こちらにも個人名はありません。北海道共同募金会自身の告知も、一貫して「事務局長」という肩書だけで通しています。
ネット上にも、確度のある氏名情報は見当たりませんでした。逮捕・起訴の段階に進めば実名報道に切り替わる可能性がありますが、現時点では属性から人物像をたどるほかありません。
本部の常勤職員はわずか6人という組織だった
現況報告書には、もうひとつ目を引く数字が載っていました。
北海道共同募金会の本部職員は、常勤専従者が6名(令和4年4月1日現在)。常勤兼務者と非常勤者はいずれも0名です。所在地は札幌市中央区北2条西7丁目、設立は昭和27年4月9日という歴史のある法人です。
本部が6人という規模で、会計責任者を兼ねた事務局長が実務を握っていた。そこから1億8000万円が使途不明になったという構図になります。監事には公認会計士も名を連ねていますが、簿外処理が多数あったと募金会自身が認めている通り、チェックは働きませんでした。
8月18日に判明したのは議事録偽造による1億9000万円の借り入れ
そして直近の報道です。
共同通信によりますと、元事務局長は議事録を偽造して、北海道内の2か所の金融機関から計約1億9000万円を借り入れていたとされています。理事会の承認を得ないまま書類を作り、融資を受けていたという内容です。
集まった寄付金1億8000万円が使途不明になり、その一方で偽造した議事録によって1億9000万円が借り入れられていた。金額の近さが目を引きます。
金額は6月の1億円から段階的に膨らんできた
この問題、報じられるたびに規模が大きくなっている点も押さえておきたいところです。
第一報は6月でした。北海道新聞が「【独自】『赤い羽根』使途不明1億円 北海道共同募金会 事務局長が着服か」と報じ、日本経済新聞も「『赤い羽根募金』で1億円不明、事務局長が着服か」として続きました。この時点の規模は「1億円」です。
その後、2025年度に集まった寄付金のうち1億8000万円が使途不明であることが判明。7月に懲戒解雇。そして8月18日に、議事録偽造による1億9000万円の借り入れが表に出ました。
2月の国税査察から数えて半年。全容はまだ固まっていないとみるのが自然です。
募金会は助成の一部再開と再発防止策の進捗を公表している
寄付金の使い道への影響も出ています。
北海道共同募金会は7月、公式サイトで「職員の懲戒解雇」とあわせて「助成の一部再開」「再発防止策の進捗」を掲載しました。裏を返せば、問題の発覚後、助成が一時的に止まっていたことになります。
赤い羽根共同募金は、学校や職場、街頭で長年集められてきた寄付です。そのお金が届くはずだった先にも影響が及んでいたということになります。HTB北海道ニュースは見出しに「いずれお詫びしたい」という言葉を掲げており、寄付者への説明はこれからの焦点です。
赤い羽根元事務局長をめぐり残された疑問
現時点で分かっているのは、北海道共同募金会の元事務局長が会計責任者を兼ねた50代の男性であること、発端が2月の国税局査察だったこと、7月に着服の疑いで懲戒解雇されたこと、そして議事録偽造による約1億9000万円の借り入れが判明したことです。
一方で、答えの出ていない点も多く残っています。氏名も、在任していた期間も、不正がいつから始まったのかも公表されていません。1億8000万円がどこへ消えたのかも、明らかになっていない状態です。所得税法違反の嫌疑で査察が入ったということは、国税当局側の手続きがどうなるのかという論点も残ります。
刑事告訴が実際に行われれば、捜査を通じて元事務局長の経歴や動機が明らかになる可能性があります。北海道共同募金会がいつ、どのような形で寄付者への説明を行うのかにも関心が集まっています。
新情報が入り次第、追記します。

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